今回は競技シーンを見るほどのVALORANT好きなら一度は耳にしたことがあるであろう「デフォルト」、あるいは「デフォルト展開」とも呼ばれる作戦について解説します。
このデフォルトを理解すればVALORANTの上達はもちろん、競技シーンの観戦が二倍面白くなること間違いなしです。
【誤解されがちなデフォルト】
筆者の肌感覚ですが、なんとなく「デフォルト」と「詰め待ち」を混同している人が多い気がします。
大間違いというわけではないのですが、デフォルト=詰め待ちという説明は不十分です。
「エリア取りと詰め待ち」をセットにしたものがデフォルトなのです。
【デフォルトとは】
デフォルトとは端的に言うと"起点作り"を目的とした攻め側の作戦の総称です。
一度簡単な具体例を見てみましょう。
マップはスプリットとします。
まず開幕アタッカーサイドは1-3-1の配置(A1-ミッド3-B1)を取ります。
ディフェンダーサイドはミッドをヴァイパーとオーメンのスモークなどで阻害する配置を取っている、よくあるパターンです。
そしてアタッカーサイドは次のようなベント取りを行い、攻めの起点作りを狙うものとします。
少し見づらいですが、次のような手順でベントを取得します。
ここまでの一連の流れがデフォルトです。
アタッカーサイドは取得したミッドとベントのエリアを基軸に攻めを展開していきます。
【注意点】
とにかく広がった配置をして、スキルを入れてエリアを取るのがデフォルトなんでしょ?と思ったそこのあなた、もう少しだけお付き合いください。
とりあえず使えるスキルを何も考えずに入れていいってわけではないです。
エリア取りのためのスキルには優先順位があり、かつ最小限に抑える必要があります。
なるべく「時間経過でリチャージされるスキル」でエリア取りを完結させることがデフォルトの信念なのです。
また人数が少ない場所に配置されているプレイヤー(今回で言えばAメインとBメイン)は絶対にデスしてはいけません。
というか個人的には撃ち合うこと自体が間違い(相手の進行を抑えて、見えたら一発撃って引くとかならOK)だと思っています。
せっかくミッドの3人が頑張ってベントまで取得しても、メインの人間が勝手に撃ち合ってデスしてメインのコントロールを失ってしまったら作戦がパアですからね。
【アセントにおけるデフォルト】
競技シーンにおいても頻繁に使用されるアセントのデフォルトについて解説します。
構成はもはや見飽きたあの構成のミラーマッチとします。
攻守共によく見る初期配置ですね。
そしてアタッカーサイドは次のようにデフォルト展開します。
見やすくするためにキルジョイのスキルを一部省略しています。
詳しい手順は以下の通りです。
- ミッドにリコン、Aショート側にスモークを使用
- ドローンと共にジェットが進行しアラームボットを破壊
- KAY/Oもジェットのカバーができる位置に進行&適宜キルジョイの空爆などによってBメインのタレットを破壊
ここからはAショートを取りに行ったり、そのままBに流れたりと様々な展開が可能になります。
ディフェンダーサイドのカウンターが怖いときにはKAY/Oのナイフを追加するなどしますが、アラームボットの破壊&ミッドの取得を目的としたデフォルトの流れは上記の通りです。
時間経過で再使用できるスキルを中心にエリア取りを行うため、最終の攻め先に対する火力を損なわずに済む点がデフォルトの強みです。
【デフォルトと構成について】
時間経過でリチャージされるスキルを中心に攻めの起点作りを行うのがデフォルトであるという解説をしてきましたが、これは裏を返せば「リチャージされるスキルがないとデフォルト展開は厳しい」ということにもなります。
まさにPaper Rex(PRX)の多くの構成がこれに該当します。
彼らは瞬間的な火力が高い構成を好み、セットを主体として相手を押し潰すような戦い方をします。
もちろんスローペースで攻めるラウンドもあるにはありますが、その多くはオペレーター等による1pickを目的としているため、デフォルトとは少し異なります。
そんなオフメタを中心としたPRXが、メタ構成を採用しているチームをバタバタなぎ倒していってしまうのがVALORANTの面白さであり、難しさでもありますね。
【まとめ】
今回は「デフォルト」という作戦の解説を中心にVALORANTの理解度を高めていただきました。
余談ですが、デフォルト展開を好むチームとしてはEMEA地域のチームなどが挙げられます。
EMEA地域のチームとPRXの試合は信念と信念のぶつかり合いのようで本当に見応えがあります。
次回のVALORANT講座ではデフォルト以外の作戦、フェイクやラッシュについての記事を書こうと思います。
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